昨日の記事で、FMの電波を出すには、直接FM方式と間接FM方式があって(昨日と書き方逆になってる)、アマチュア無線の”受験勉強的”には以下の説明になる。
【直接FM方式】
音声信号の振幅に合わせて自励発振(LC発振)で周波数偏移させてFM波を発生させるもので、周波数を安定させるのにAFC回路が必要になる。
(あとのヒントになるので、付け加えておくと、「音声増幅器」のあとに「可変リアクタンス」が入って、「搬送波発生器」がつながる形のブロック図になる)
【間接FM方式】
音声信号は音声増幅器で、搬送波は搬送波発振器で、それぞれ別々になっていて、これを位相変調器で混ぜるもの
※昨日書かなかったけど、受験的には、IDC回路っていう、周波数の偏移を抑えるものがあって、それを【間接FM方式の)音声増幅器の後に書いている図が試験に出ることがある。その場合、FM波を作るために必要な前置補償器が何故か抜けている
ところが、4アマの講習会教科書
では、FM送信機の説明で、間接FM方式にも直接FM方式にも触れず、どちらかわからない図が載っています。
今日は、この理由を「実際のFM送信機」を例に説明します。
私は430MHzFMに出ています。
第一送信機として、申請しているのは、アイコムのID-80です。
これの仕様を見てみましょう
送信部の「変調方式」のところに
FM:FMリアクタンス変調(F3E)
って書いてあります。間接FM,直接FMとか書いてありません。受験参考書には2つしか、でていないぞ!リアクタンス変調って?
気を取り直して、第二送信機見てみましょう。
第二送信機は、アルインコのDJ-G7をつかっています。
この仕様を見てみましょう
「変調方式」のところです。
リアクタンス変調
って書いてあるだけです…受験参考書に出てこなかった言葉…
ところが、アマチュア無線の受験参考書ではなく、一般にFM変調方式をネットで調べると、
によると、
FM変調の方法には発振器のリアクタンスを音声信号で変えるリアクタンス方式と,のこぎり波を音声信号で位相変調し,それを周波数変調に変えるセラソイド方式がある。
つまり、
リアクタンス方式=直接FM変調方式
セラソイド方式=間接FM変調方式
ですが・・・リアクタンス方式って書いてある。
直接FM方式なら、AFC回路とか使ってるんでしょうか?
ブロック図が載っている、DJ-G7の取扱説明書の「系統図」のページ(113ページ)を見ると…
?????
わけわかんない図が載っています。AFCも自励発振もなく、書いてあるのは
マイクの後、低周波増幅リミッタ、これは音声増幅器だとわかりますが、そのあとは、
VCO
受験参考書に出てきません、VCO…
VCOとは、電圧の変化を周波数の変化に変える発振器。
つまり、受験のブロック図でいうと、搬送波発振器に相当するので、直接FM方式の図はあっているんだけど、その図や受験知識にひきずられると、「AFCは?なぜ、系統図はPLLがついてるの?」ってことになってくる…あまりにも受験勉強の時のブロック図と系統図が離れているように見えて、わけわからん。
そこで、4アマの教科書では、現実もカバーするように、VCOのところが「発振・変調器」と当たり障りのない説明になっているんだと思います。
こんな感じで、受験では電子回路を細かくやるんだけど、「受験無線工学」みたいな感じで、実際にはIC置いておしまいとか、もっと違った回路になっているところもあったりして・・・
そんな差なんかをこのブログでは書いていこうとは思いますが、「受験用無線工学」と割り切って勉強しちゃったほうが、いいのかもしれません・・・
実際には複雑でも、過去問にはパターンがあって、これを覚えてしまえばおしまい!っていうのも、結構あるので…