【無線工学(1)】なぜ、複数の放送局が、同時に別々に遠くまで放送を届けられるの?

無線工学と法規の「新しい」解説、始めたいと思います。

って、前に書きました。その解説を始めたいと思います。

一番初めに、電波について考えます。

 

電波をつかうと、

なぜ、複数の放送局が、同時に別々に遠くまで放送を届けられるのでしょうか?

今日は、この謎に答える形で、解説を進めていきます

 

・・・あ、書き忘れた、このシリーズは、毎回、1問1答で問いに対して答える形で、解説を行います。

 

 

 逆に、「大声を挙げても、なぜ、遠く(たとえば10Km先)まで届かないのかについて考えましょう。

 

 大声を出すと、数メートル先には伝わります。これは、声が聞こえるからです。

 声が聞こえるとは、

  話し手が、空気を振動させて、音を出し、

  その音が波(音波)となって空気中を伝わって、

  聞き手にその振動が音として認識されるからです。

 

 でも、遠くに伝わらないのは、その音による空気の振動が、遠くに行くと減衰してしまって、伝わらないからです。つまり、音波が減衰して、空気中を伝わらなくなるからですね!

 

 電話は遠くに伝わります。電話の仕組みは、

  話し手が、空気を振動させて、音を出し、

    その音を受話器(マイク)が空気振動を電気信号に変え、

  その電気信号が電線(電話線)を伝わって、

    電線を流れている間に減衰して信号が小さくなってしまうので、

    そうしたら大きくする(増幅する)という中継局をいくつかはさんで

  聞き手に電気信号がとどき、それを音の振動に(スピーカーで)戻して

    その振動が音として認識されるからです。

 

でも、電話は同時に1対1で使うのがふつうです。

  同時に複数の人が使い分ける・・・ものではないです

  (実際には可能です。昔、受話器を2つ持って、電話をしている証券会社の

   人がいました。昔の人は知ってるんですけど、バブル以降に生まれた人は…)

 

大声はどうでしょうか

  高い声の人と低い声の人が同時にしゃべったとしたら、聞き分けることは、

  頑張れば可能です。

  聖徳太子さんは、7人の人を聞き分けたそうです。

    いや、見たことないから知らんけど…

    お札では見たことあります。聖徳太子

    …って今の人は見たことないのか、諭吉さんに変わって

    …てか、今、聖徳太子とか、言わないのでしょうか(厩戸皇子のことです)

 

高い声、低い声というのは、

  音波の世界(波の世界)でいうと、(周波数というものがあって)

    高い周波数(が高い声)

    低い周波数(が低い声)

  ということになります。

つまり、2つの声の周波数を大きく変えれば、別々に伝えることができます。

(あとの話を続けるための無理やりすぎる説明ですが、そう思ってください。

 ここ説明すると、「波とは何?」っていう、高校物理から説明しないと

 いけないので省略)

 

 

電波を使うと、

  大声では届かないほど遠くへ、

  電話とちがって複数の人に、同時に、「線をつながないで」

届けることができます。

 

遠くへ伝えるためには、

  電話のように、音声をマイクで電気信号に変え、

  その後、音波でななく電波(電磁波)を使って遠くまで届けます。

 

電波も波ですから、周波数があります。

周波数の単位はHz(ヘルツ)です。1000Hz=1KHz(1キロヘルツ)です。

 

音声の電気信号を電波にするとき、6KHz必要だったとします。

話し手が6KHzで電波を投げて、聞き手がそれを変換すれば

・・・1対1の話は成立します。

 

では、複数の人と、同時に話すにはどうしたらいいでしょうか?

・・・高い声、低い声のところでやりました。周波数を変えればいいのです。

 

かりに、

TBS(という名前の人がいたとします)が

  954Khz±音声分の周波数(6KHz)

文化放送(という名前の人がいたとします)が

  1134Khz±音声分の周波数(6KHz)

ニッポン放送(という名前の人がいたとします)が

  1242Khz±音声分の周波数(6KHz)

という周波数で電波を同時に投げたとすると、

 

聞き手は、

  954KHzを基準として、その前後の周波数帯に広がる電波を音声信号に変換すれば

    TBSさんのお話が聴けて、

  1134KHzを基準として、その前後の周波数帯に広がる電波を音声信号に変換すれば

    文化放送さんのお話が聴けて、

  1242KHzを基準として、その前後の周波数帯に広がる電波を音声信号に変換すれば

    ニッポン放送さんのお話が聴けて、

同時に別々の放送が聞こえることになります。

 

このとき、基準にした周波数(954KHzm1134KHz,1242KHz)を搬送波(キャリア)といいます。

電波は話し手は、音声に搬送波を足して電波を送信し、聞き手は搬送波分を除いて音声を復元しているので、話が聴けます。

このとき、搬送波の周波数を変えて電波を送信、受信しているので、話は混じらず、同時に遠くまで届けられます。

 

電波の仕組みはこんな感じ。

 

 

まとめると、放送局など、電波を使った場合、

 

  話し手が、空気を振動させて、音を出し、

    その音を受話器(マイク)が空気振動を電気信号に変え、

    その信号を波にしたのと搬送波を合わせた周波数で話し手は電波を送信し、

 

  その電波が電界・磁界(そんなもんがある。説明省略)を伝わって

 

  聞き手に電波がとどき、

    電波から搬送波分を引いて、音声部分の波を取り出し

    それを電気信号に変えて、さらにスピーカーで音の振動に戻して

    その振動が音として認識される

 

という仕組みを取ります。

 

複数の人が同時に放送しても、搬送波の周波数を(音声部分の周波数を考慮して、十分に)離せば、信号は混ざらないで、聞き分けることができます。

電波は音波より、ずっと遠くに飛びます。

 

どれくらい遠くに・・・というのは、搬送波の周波数によって違います。

次は、(搬送波の)周波数と電波の飛び方、届く距離などについてです。

 

※雑談で、

   電気信号に変える→音声増幅器・変調器

   搬送波をつくる→発振

   音声と搬送波を混ぜる→(変調によって)さまざま

という話をちょこっとします。本格的には、無線工学の後半戦で話します。