【無線工学(2)】なぜ、「ぬかる民」は、関東にもいたのか?ー受験生的回答

 ものすごい昔、「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」という番組がラジオ大阪にあって、その番組のリスナーは「ぬかる民」と呼ばれていました。

 

 この番組は、ラジオ大阪の番組なので、大阪で聞こえ、知られているのは当たり前なのですが、Wikipediaによると、タモリさんなどによって、全国的に広まったとあります。

 しかし、1980年代にも、関東に「ぬかる民」はいた気がします。

 つまり、関西のラジオ局が、当時、関東でも聴けたと・・・

 

 いま、昼間だったら、ラジオ大阪1314kHzに合わせてもらうと・・・まず聞こえないと思います。なぜ、当時1980年代に聞けたのか?

 

 この答えの一部、アマチュア無線の受験的回答を今回は書きます。

(無線工学的には「電波の伝わり方」になります)

 

 

【搬送波の周波数によって、送れる範囲など変わる】

 

 第一回で説明した通り、電波でいろんな人が情報を送るには、搬送波と言われるものと、音声など送りたいものを加工して、それを混ぜて電波として送るのでした。そうすることにより(搬送波の)周波数を変えると、違う情報が流せます。

 

 この(搬送波の)周波数は、周波数の高さ(数字が大きいほうが高い)、低さによって、電波の届く範囲が異なります。

 4アマの教科書

の96ページに票が載っていますが、大体周波数を以下のように分けます。分けたのには意味があって、これにより飛び方が違います。

 

 ざっくり、

300KHzまでが長波(LF)

300KHz~3000KHz(=#MHz)が中波(MF)、

3MHz~30MHzが短波(HF)

30MHz~300MHzが超短波(VHF)

300MHz~300GHzが極超短波(UHF)

電波は300GHzまでで、このうえはテラヘルツ波、さらにその上は光になっていきます。

UHFのうち、30GHz~300GHzをミリ波ということがあります。また、短波はSWとも略されます。

 

 

で、具体的に電波の飛び方ですが、まず、電波にはどういう飛び方があるかというと、4アマの教科書の105ページにめちゃくちゃきれいにまとまっています。この図だけで、この本買う価値がありますってぐらい、きれいにまとまってます。

 

 つまり、電波の飛び方は、大きく、(1)地上波、(2)電離層波、(3)その他(教科書では対流圏波が書いてあるけど)に分けられます。

 

 (1)地上波のうち、直接波とは、送信機から受信機まで直接電波が飛ぶもので、これは長波から極超短波まで、どれでも起こります。また、地表にそって電波が流れる地表波、大地に反射して届く大地反射波も地上でおこってますので、地上波の仲間です。

 

 これとは違い、空の上にある電離層というところで電波が反射されるのが、(2)電炉層波です。上空に電子とイオンでできている電離層という層があります。この層はある周波数の電波を反射します。電波の反射に関係がある電離層はD層、E層、F層です。

 

 短波の一部の周波数は、電離層のF層で何回も反射して、世界中に届きます(理論上。出力小さいと減衰はげしくて、世界中というわけではない)。

 

 電離層のD層は夜に表れ、中波を反射します。

 中波を使っているのはAMラジオです。

 ラジオ大阪を関東で聞く場合、ラジオ大阪はAMラジオ、使っているのは中波なので夜だけD層に反射して、関東でも電離層波で聞けます。

 そのため、遠くて地表波では聞くのが無理なラジオ大坂でも夜はD層による電離層反射で聞けるようになる・・・これがぬかる民が関東にもいるアマチュア無線的説明になります。

 

 電離層のE層は、たまに局所的に集まってスポラディックE層(Es層)を形成します。Es層は超短波を反射します。具体的にはアマチュア無線の場合、50MHz帯でごくまれに、起こります(遠くの局と交信できる)。

 夏の昼間に起こることが多いです。

 

 次回は、短波の伝わり方について、深堀します。